奈良・平安時代
NARA / HEIAN PERIOD
ひたちなか市域は常陸国那賀郡となり,役所の瓦を焼いた瓦窯跡や,
砂鉄を溶かして鉄を生産した製鉄炉がつくられました。
十五郎穴横穴墓群第32号墓から出土した大刀(市指定文化財)や,古代那賀郡の役所に供給した瓦を焼いた窯である原の寺瓦窯跡の瓦,そして集落遺跡から出土した多数の墨書土器などを展示しています。また,茨城県最古(7世紀末~8世紀初め頃)に位置づけられる後谷津製鉄遺跡から出土した製鉄炉の炉壁などは,溶けた状態がみられ当時の最先端の技術を今に伝えています。
原の寺瓦窯跡から出土した軒丸瓦
常陸国那賀郡の役所に葺かれた瓦を焼いた窯跡が発見されています。
奈良時代になると,水戸市台渡里遺跡群に古代の寺院や役所(那賀郡衙)がつくられました。そうした施設に葺く瓦を焼いた窯が発掘調査で見つかっています。
瓦窯跡2基,工房跡6基,粘土堆積遺構1基が調査され,8世紀の瓦や土器が出土しました。
十五郎穴出土大刀
市指定有形文化財
十五郎穴横穴墓群から正倉院御物に似た大刀が出土しています。
昭和25年に発見された十五郎穴横穴墓群館出支群第32号墓から出土した銅製の金具類がよく残る大刀であり,ひたちなか市指定有形文化財となっています。鞘部に残る木質部の表面に黒漆と思われるものの付着がみられます。
金具の形状や鞘部の黒漆からみて,正倉院御物の第26号黒作大刀によく似ており,全国的にみても貴重な資料といえます。